YOASOBIから学ぶヒット曲の考察【押し売りメロディーを分析】

ここ数年、メジャーデビューやヒット曲等の出方が変わり

プロダクション等のオーディションに応募し、時を経てデビュー!のような「王道」と考えられるスタイルが崩壊しつつあります。

ですが、スタイルや売り方が変わっても、変わらないのは「音楽」です。

本日はJ-POPの「作曲」について、人気ユニット「YOASOBI」を参考に、音楽スクールの経営者の目線からもお話したいと思います。

現在の作曲スタイル

iPadのピアノアプリ
iPadで無料ピアノをアプリを使っている様子

まず現在の作曲方法についてお話します。

五線譜に音符を書いて作曲をしていた時代から、MacやPCを使う様になり、今ではスマートフォンやタブレット端末で曲作りをしている若者を目にする機会が増えました。

五線譜のみの時代にはスキルや感覚がかなり必要で、PCやMacを使うにも機材投資が必須だったりと、非常に敷居の高い印象があります。

今となっては、若者が必ず持っているスマートフォンと無料のアプリケーションを使い、誰でも曲作りに挑戦する事ができるようになりました。

とてもいい時代になったなと感じます。

そんな現代の象徴とも言える、人気ユニットYOASOBI(ヨアソビ)のAYASE(アヤセ)さんが、パソコン1台で曲作りをしてるとメディアに発信した事をきっかけに、音楽に挑戦してみようと思った方が増えた印象です。

いわゆる音楽理論(座学)を知らず、無知な状態で曲を作ったそうなので、それを見てやりたくなる方が増えた気持ちは共感できます。

1.便利機能を使う

LogicPro
LogicProXに搭載のDrummer

さて、ではこれから曲作りに挑戦する方の気持ちになって、1つずつ見ていきましょう。

まずは「便利機能」から解説していきます。

無料のアプリを使う方は楽器経験等も少ないと思うので、各アプリケーションに搭載の便利機能を使うに他はありません。

今ではリズムパートをクリック1つで作成する事もできますし、メロディーもAIアプリケーション等を使って作成する事も可能です。

「曲を作る」という目標の土台は大枠完成しそうですが、レッスンの受講を希望される方は、0から自身で作成したい!という方が多いので、これだと納得いきませんよね。

ですが、この便利機能は使って良い結果になるなら、取り入れても良いかと思います。ショートカットしてから、後日少しずつ覚えていく方法も、この情報社会ではアリだと感じます。

もしこの”便利機能”が「不要だな」と感じた時は、自身のスキルが上がった証拠です。

まずは第一歩。急がず作らなくても学ぶ事は多いかと思います。音楽は「積み重ね」が大切です。

どこでシンバルを叩くか?、小節数は変更するか?、楽器のフレーズはどのタイミングで入れるか?想像以上に考える事や音を組み立てていく作業が増えると思います。

この「便利機能」から少しずつ応用に繋げていきましょう。

2.具現化について

何故パソコン1台で曲作りができるようになったのか?と考えた時に、思い浮かぶ最大の理由はこの「具現化ができたから」です。

カセットテープ等に録音してた時代もありましたが、今はマウス1つで瞬時にデータの保存と変更ができるので、思い描いていた音楽を形にしやすくなった事が最大の要因だと私は感じます。

もう10年以上前になりますが、私も若かりしき頃にオーケストラの曲を書いたら、「よく若いうちにそんな色々な曲が書けるね」と師匠に言われた記憶があります。

これは私が凄いのではなく、ちょっとお金を出せば具現化ができるくらいの機材が買えたので、既に所有して使っていただけといった感覚でしかありません。

師匠の時代では、若くてそんな人がいたら「天才」の部類に入っていたと言われた事があります。

改めて環境って大切だなと感じました。

メロディーの押し売り

ようやく本題ですが、少し音楽的なお話に移りましょう。

作曲をしてなくても、バンドや音楽活動をされてきた方は、もう既にお気づきな場合が多いかと思いますが、日本のJ-POPは【押し売り】のメロディーが頻繁に登場します。

押し売りって…(笑)

自分でこんな事を堂々と言ってなんだか恥ずかしくなりそうですが、八百屋さんとかで「安いよ〜安いよ〜」って聞いた事あるかと思います。これに非常に近いです。

J-POPで言うところの

「好きすぎて〜好きすぎて〜好きすぎ〜てぇ〜!」みたいな曲があったかと思います。

おや?…何か閃きましたでしょうか?

何をお伝えしたいかと言うと、この同じ様な動きのメロディーがまさに「押し売り」だと気付かされます。

人間は何度も同じメロディー(同じ様な動きのメロディー)を聞くと、自然と記憶に残ります。

合わせて同じ言葉(歌詞)を繰り返すと、もっとそのように感じるかもしれません。

この同じ様な動きのメロディーを繰り返して、ひとまとめにしたメロディーを「モチーフ」と言います。

モチーフと聞くと「参考作品」等のイメージがあるかと思いますが、「リフレイン」というお伝え方をした方が、初心者の方は分かりやすいかもしれません。

楽器演奏だと「リフ」という言葉があるように、フレーズ作りで「リフレイン」で多用します。

作曲では同じ様な意味でも「モチーフ」という言葉を使うのでしっかり覚えましょう。

今回はこのモチーフを使った簡単なメロディーの譜面と、音源をご用意しましたのでチェックしてみてください!

モチーフを意識したメロディー

メロディー
今回のデモ音源のメロディー譜

いかがでしたでしょうか?なんとなく耳馴染みもあって、J-POPっぽいメロディーといった所でしょうか?

ポイントはメロディーが同じ様な動きをしているのが分かるかと思います。1種のモチーフのみでは形にしにくいので、異なるメロディーやモチーフを多様して展開する事があります。

もしこれだけで分かった(閃いた)方は、この時点で作曲スキルが上がってます。

その流れのまま、今回のYOASOBIの楽曲にも注目してみましょう。

YOASOBI/群青

さてどこが「モチーフ」だと考えられる所でしょうか?

沢山あるかと思いますが、このような流れでメロディーの構造やキー、コード進行等の理解を深めれば、誰でもJ-POPのメロディーを作る事が可能です。

こういった時に次に出てくるのが、「音楽理論」という問題です。

「音楽理論」の中でも、J-Popで頻繁に使用するのが「コード理論」です。

この「コード理論」を学習した上で「モチーフ」を意識すると、歌楽曲は飛躍的に作りやすくなります。

改めて商業音楽は、コンテンツやバックトラックのサウンドは時代と共に進化していますが、メロディー作りや音楽理論はいつの時代も同じ様な事をやっているんだなと感じます。

その中で新しい物を生み出すのが大変ですが、楽しい一面でもあります。

あなたのお好きな曲で、モチーフがあるか是非チェックしてみてください!

これから音楽に挑戦される方へ

今回はメロディーに注目しましたが、このモチーフを勉強する事は作曲に大いに役立つかと思います。ご自身の音楽スキルの引き出しを増やす事は、曲作りの後押しになるので是非勉強してみてください。

今回は「モチーフ」について記載致しましたが、次回はバックトラック(編曲)について書いていきたいと思います。お楽しみに!

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