攻殻機動隊に魅せられたサブカルチャーとSF
『攻殻機動隊』(英題:GHOST IN THE SHELL)
原作は全三巻のマンガとなっており、1995年に押井守監督により初の劇場版アニメが公開された。
のちに海外で高い評価を受け、続編映画にあたる『イノセンス』では日本アニメーション初となるカンヌ国際映画祭にてノミネートされ、国外問わず熱狂的な盛り上がりを見せた。
映画の他にテレビ放映された『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(S.A.C.)』シリーズなどを含めるとかなりの作品数となり、現在もなお新シリーズが制作されていることからその高い人気ぶりが伺える。
リアルに見えるSF
サブカルチャーとしてのサイエンス・フィクションは独自の発展を遂げ、革新的なビジュアルデザインやそれに関連付けられる独特の音楽性などで、常に新しい体験を私たちにもたらしてくれた。
SFはその名の通り、現代の技術力では再現できないような突飛な妄想を、様々な作品に落とし込んで楽しむといったイメージが強い。
攻殻機動隊においては『完全にフィクションなサイエンス』を、『リアルに見えるSF』として扱うことによって、まるで実在するかのような印象を視聴者に与えている。
完全なSFではないという印象は、作品の内容そのものをリアルに見せるが、空想的な部分を楽しむといった従来のSFの枠からは大きくはみ出てしまう。
しかし、攻殻機動隊はその塩梅がとても上手く構成されている。
随所に描かれた『身近に感じるSF』
その相反しているギミックが何とも不思議な感覚で、心地よいとまで思える作品である。
『身近に感じるSF』はいわゆる近未来SFの括りとは少し違い、従来のSFに対してのカウンターカルチャーとして”サイバーパンク”とも言われる。フィクションの中に少しだけリアルを混ぜる事によって、未来ではなく現代でも再現可能なのではないか?と思わせるハーフフェイク的な手法を用いる事が多い。
現在は攻殻機動隊を火付け役とした、細分化されたSFの中でもポピュラーなジャンルの一つと言えるのではないか。
攻殻機動隊で車は空を飛ばず、タイムマシーンもない。
人々は自動運転を利用し、脳を機械に移植すれば”正規”の方法で未来へと行けるのだ。
サブカルチャーとしてのSF
未来的なビジュアルデザインやデジタルサウンド、よりリアリティのあるSFは、近年世界で最も注目されているサブカルチャーである事はまず間違いないだろう。
インセプション、インターステラーなどで世界的な映画監督であるクリストファー・ノーラン監督の最新映画”TENET”、大ヒットしたゲーム、『ウィッチャーシリーズ』などを開発したCD projekt REDによって手掛けられた”Cyberpunk 2077″、メタルギアシリーズの小島秀夫監督が独立後に発売した”DEATH STRANDING”。
https://ja.wikipedia.org/wiki/TENET_%E3%83%86%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%B3%E3%82%AF2077
https://ja.wikipedia.org/wiki/DEATH_STRANDING
これだけのビッグネームが続々とSFというジャンルを起用しているのは、SFのファクターを媒介として作られる緻密で硬派なストーリーテリングには底知れない魅力があるからなのである。
音楽面にしてもその影響力は大きく、鋭利なデジタルサウンドに民族音楽的なニュアンスを取り入れたり、様々な音をサンプリングし、加工する事で聞き馴染みのない音色を作成したりと独自の音楽性を広げていっている。
それらの音楽とSFライクなビジュアルの作品が合わさる事によって、サブカルチャーとしてのSFが徐々に一つのテーマとして根付いていったのだ。
90年代にそれらの手法を生み出した攻殻機動隊という作品は、サブカルチャーとしてのSFの土台を固めポピュラーなものに昇華した功績があり、今もなお多岐に渡る作品に多大なる影響を及ぼし続けている。
想像できる未来があってこそ成り立つSFは、今を生きる私たちのクリエイティビティをどこまでも引き出してくれる、最後のサブカルチャーなのかもしれない。
なぜ売れたのか?
インターネットの普及に伴って私たちの生活は徐々にデジタル化され、その中でも化学の進歩がどのようなメリットとデメリットを生むのかを浮き彫りにした!と言ってもいいのが攻殻機動隊です。
コミカルなキャラクターと哲学的な語り口、過激なアクションシーンやサイケデリックな映像と音楽表現。化学の終着点と言っていいほど成長した攻殻機動隊の世界は、インターネットの成長とともに注目され人気を集めました。
インターネットを利用した匿名の犯罪行為などを取り扱ったストーリーは、インターネット上での個人情報の取り扱いなどを気をつけようと思えたり、現実世界への注意喚起も含まれており、アニメと現実のリンクが人気作品となった理由ではないかと私は思います。
作品数が多くわかりにくいかもしれませんが、気になる方は劇場版をご覧いただければどのような作品であるかわかりやすいと思います。是非一度、攻殻機動隊の世界を体感してみてはいかがでしょうか?
1996年7月17日生まれ。ボーカリスト。
幼い頃にドラムを始め悲願してドラム教室に加入させてもらうが、ドラムの音が気持ち良すぎたらしく叩きながら寝るため断念。
中学生の時期は東京から離れ、二年間に及ぶ鹿児島での離島生活。
16歳でボーカリストとして活動開始。
アイドルやバンド等にスクリームなどの特殊発声を含めた個人指導を定期的に実施している。