サウンドインタビューVol.2【大友マサノリ】
こんなにもビールが似合うシンガーソングライターはいるのだろか?
音楽に熱く、人への思いやりが人一倍強いミュージシャン、大友マサノリ氏(以下:大友)に本日は今までの音楽人生と、所有されている楽器について質問してみました。
質問/記事作成:森谷貴晴(Next Lead Music)
ダンサーから音楽の道へ
18歳で秋田から上京、もう既に18年目だそうで完全な東京人の大友氏。
大友:長げーよ。もう東京人の身体になっちゃった。
森谷:そもそも何がきっかけで東京に来たんですか?
大友:とにかく都会に行きたかった。秋田の人って都会に出るってなると、仙台になるんだよね。でもなんか中途半端だなと思って東京に行こうと決めたんだ。
森谷:最初から音楽をやりに東京に?
大友:と思われがちだけど、最初はダンサーだったので違うね。
森谷:だ、ダンサー?
大友:そう。むこう(秋田)では名が知れたダンサーくらいまでにはなっていたよ。
大友:でもさ〜、当時はインターネットが今ほど普及しておらず、完全な独学のまま上京っていう流れでね?他のジャンルのダンスと違って、ブレイクダンスっていうジャンルだったからさ、利き腕と利き足ってのがあって、技によってバラバラでさぁ〜。。
森谷:違うとまずいのでしょうか?
大友:そう。技が繋げられなくなってしまい、壁にぶち当たってしまった。その当時の先輩にも相談したりして悩んでいたけど、「18歳からこれを矯正するのは相当大変だぞ?」と言われてから挫折してしまって。
森谷:若いし必要以上に重く考えてしまいそうですね。
大友:就職活動もしてないし、そもそも勉強もしてないしどうしようかな?と悩んでいた時に、歌を歌うのが好きだったので、「よしやろう!」と決めました。
森谷:またワイルド〜〜!!(笑)
大友:ただどうやって活動したらいいか分からなくて、とりあえずギターを買おうと思って、楽器屋に行きました。楽器屋で「このお店にある1番高いのをください」って言って出て来たのがこのギター(Gibson ES-335)。「これください!」って言って買っちゃった(笑)
森谷:すごい18歳ですね(笑)
大友:いや〜でも初心者セットとかだと、俺やらなくなるなぁ〜って思ってね。自分の性格分かってたし。
森谷:ちなみに、いくらで買ったんですか?
大友:35万(笑)
森谷:(笑)
大友:親に頭下げてお金を借りて買ったよね。その後入学した音楽の専門学校を卒業してから返済したって感じだね。今も現役のギターとして、メインで使用してます。
森谷:大友さんって、結構いいギターを沢山お持ちですよね。
大友:あとテレキャスターが高いけど、その他はそうでもないかな?当時はギターを買うためにアルバイトをしていたような感覚だったな(笑)
音楽の仕事をし始めたきっかけ
前述の通り、専門学校に入学されたそうで、同期や仲間が増え、やはり現実的に目を向けるのは、どうやって仕事を獲得していくかが課題になりますが、大友氏は在学時から仕事をもらえたそうです。
森谷:1番最初の音楽の仕事は何か覚えてますか?
大友:それこそ仮歌だね。作曲家のデモ音源に歌を歌う仕事が最初。
森谷:たしかに専門学校に行けば、作家(作曲家)や志望者に出会えますもんね。紹介だったり、「ご縁」が増えそうな印象です。
森谷:仮歌ですが、既存曲では無く、仮メロにバックトラックがついてる状態がデモとして送られてくるかと思いますが、その処理というか歌い方等に悩みはありましたか?
大友:うーん、そこまで深くは考えてなかったです。言われた事を淡々とこなすといった感じです。
森谷:では逆の発想で、「俺シンガーとしての仕事をしてるな〜」と感じる時期ってありましたか?
大友:バンドが解散した後はそんな感じかな?在学中にスカウトされて、専門学校を卒業してすぐにバンドで事務所に入ったので、解散前の活動の主軸はバンドでした。その後はやはり「シンガー」として仕事を請け負う事が増えたね。
森谷:その後はどうされたのですか?
大友:MTRを始めて、物足りなくなってProToolsを導入して、少しずつ仕事が増えて来ました。
森谷:なるほどデータ納品できますもんね。やはり先行投資は大事ですね。
大友:それに知人の作家の曲を俺が歌うと、必ずコンペが通るという時期があってね。無双状態だったね(笑)なおさら沢山やるよね。
始めて作った曲が話題に
卒業後はバンド活動との事でしたが、そもそも作詞作曲編曲から演奏、歌唱、ミックスまで1人で行う人は当時珍しかったのではないかと思います。ダンサーだった大友氏がどうやって曲を作れるようになったのかにも着目したいと思います。
森谷:どうやって曲作りができるようになってきたのですか?
大友:バンドやったりライブで演奏していくうちに、引き出しが勝手に増えた感じだよ。なんとなくやってみたって所かな?
森谷:音楽は同じ事を繰り返してるように見えますが、個人的には「積み重ね」なのかなと思っています。大友さんの場合はダンスから「積み重ね」をされてきたのでしょうか?
大友:在学中に始めて書いた曲が構内で話題になってね。天才だと思った。その曲のサビ以外ラップ調だったので、ヒップホップ感が自然と出てしまったね(笑)これはダンスの影響が大きいです。
森谷:サビ以外ラップ調(笑)
大友:でもギターのリフとかは当時のバンドメンバーが作ったね。
最初から1人で作ったという訳ではなく、やはりメンバーや他の人と音を交えてスキルアップしたようです。改めて人に聴いてもらうという事の大切さを感じました。
音楽は料理に似てる!?
18歳で「このお店で1番高いギターをください」そんな事を言ってしまう大友氏だが、やはりアルバイトをして、ギターや機材を購入して先行投資をしていたようだ。以前大友氏からモニタースピーカー等の機材を買ったら仕事が増えた!そんな話も聞いた事が沢山あるので、やはり自分の未来に投資する事は大切ですね。
森谷:音楽以外から、音楽制作の為にインプットやヒントを得る事って何かありますか?
大友:インプットという訳ではないけど、飲食と音楽は似てる所があるね。特に『ミックス』。まず素材をしっかり揃えないと、調理頑張っても限界がある。飲食の仕事をしてた時期があるから、本当に近いものを感じる。
森谷:大友さんの場合はミックスですが、各々「近いな」と感じ取れるものを認知する事は大切かもしれませんね。単純に気分転換になりますし。私もミックスと料理が近いのはすごく共感できます。
大友:例えばだけど、ミックスのみの仕事の場合は、「いい音にしよう」とは思わず、「いい音楽にしよう」と心がけてる。録り音は、プレイヤーの自身のいい音なので、それを活かしたい。必要に応じて味付けをしたいね。ブラックペッパーみたいな「リバーブ」とか?(笑)
森谷:(笑)
大友:ちょっと塩が足りないな〜このリバーブ。(笑)
森谷:しょっぱくねえな?って?(笑)
大友(笑)
森谷:語弊が生まれそうですね(笑)
音楽のインプット
森谷:大友さんの場合は、ダンスやバンド、音楽仲間と切磋琢磨した経験や過程があるので、曲作りやライブへの敷居はそんなに高くなかったかと思いますが、お願いしてるレッスンを受講されている生徒さんは、社会人だったり、音楽の経験が少ない方が多いかと思います。音楽にトライされている生徒さんに共通して不足してる点はありますか?
大友:経験が少ないってのに繋がってしまうけど、”聴き”が足りないなと思う事はよくあるね。まず音楽を聴く「量」その物が圧倒的に足りないかな。
森谷:「聴きが足りない」ってよく挙がる議題の1つですが、具体的にどういった所を注意して聴くべきでしょうか?全体の構成?アレンジや和声?
大友:まずは沢山カバー演奏や歌ってみる!って所からだと思うね。例えばだけど、この間体験レッスンやったA君いるじゃん?彼は◯◯ってアーティストの△△って曲を歌いたい!ってきたじゃない?でも受講生のB君はめっちゃ色んなアーティスト聞いてて、単純に知識量が多いよ。それが無意識の中で聞いてても感覚として残ってる。
森谷:それって親の教育とかって出るかもしれませんね。
大友:それあるかもね〜。
森谷:聴き方で効率性を高めるのは大事ですが、やはり「積み重ね」は重要ですね。
使用と商用のデータの違い
話は戻り、アーティストやシンガーソングライターとしてのボーカルデータと、仮歌や商用等のシンガーとしての宅録データについて聞いてみました。
森谷:自宅のレコーディング環境ってどんな感じですか?
大友:audio-technicaのコンデンサーマイク「AT2035」にリフレクションフィルター「SE ELECTRONICS Reflexion Filter Pro」を使用して録音してるよ。
森谷:に、2035ですか?
大友:安いけど優秀だよ。
森谷:大友さんから、何度もデータを頂いてますが、そんな感じはしないですね(汗)もっとハイグレードなマイクだと思ってました。
大友:自身の作品だと部屋の反響音も時代感だと考えているので、リフレクションフィルターは使わない事もあるよ。部屋鳴りも録音してる。逆に商用は絶対リフレクションフィルターは使うね。場合によっては毛布も使うかな?
音楽制作に馴染みの無い方は、プライベート用(好みやエゴ)と仕事用(仕事として使える素材)で分けるイメージを持っていただくのがよいであろう。
まとめ
今回はシンガーソングライターの大友マサノリ氏に、これまでの音楽人生の一部や、レッスンをしていて感じた事等を書きましたが、他のアーティストや作曲家と話をしていて感じた事は、やはり音楽は「積み重ね」なんだなと改めて感じました。
積み重ねる事は音楽だけとは限りませんが、機材を購入して自身の未来に投資する事や、日々の鍛錬を続ける事等、何も知らない人には理解し難いかもしれませんが、続ける事の大事さを改めて感じました。
これからの時代、多様性はもちろんですが、視野を狭くせずに色々な事柄からインプットして、時代や世情を予測し、音楽にアウトプットできる音楽家やミュージシャンで溢れるともっと楽しい時代になりますね。
是非、皆さんも音楽ライフをエンジョイしてください!
東京都出身。23歳で作曲家、28歳で作詞家デビュー。アニメやTV番組、パチンコ等の音楽制作をはじめ、メジャーアーティストの音響やサウンドエンジニアも担当。2017年4月にオンライン専門の「Next Lead Music School」を設立し、音楽の専門学校を超えるサービスを目標に運営中。東京都から栃木県へ移住し行政の委託事業も遂行。日本のマーケターになりたい。