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【作曲家向け】LogicProにおけるプロジェクトのビッド深度とオーディオエンジンに関して

時代と共に増える音の情報量

DAWで音楽制作を行っていると「32bit float(浮動小数点数)」といったワードを耳にする機会は多いと思います。特に作曲家やアレンジャーの場合はミックスエンジニアにデータを渡す事も多く、話題になる事もあるでしょう。

音楽は昔から録音方法が変わりませんが、この他にも「32bit整数」や「64bit float」といったように区分けされるようになりました。

本日はLogicProと他社のDAWおける「オーディオエンジン」と「プロジェクト設定」の特徴をピックアップしました!大前提として「プロジェクト設定」を32bit float以上にした際の内容になりますので、作曲家やアレンジャーは参考にしてください。

ビット深度とは?

まず「ビット深度」とはビットデプスとも呼ばれ、高ければ高い程、音量を細かく表現する事が可能です。音楽制作において、「16bit」「24bit」「32bit float」「32bit整数」「64bit float」を使用します。

現段階では作曲家やアレンジャー、トラックメイカーにおける「プロジェクト設定」は、24bitまたは32bit floatで作業するケースが多いです。もちろん環境やクリエイターによって異なりますので、今後注意してみてみましょう!

異なる2つのビット「オーディオエンジン」と「プロジェクト設定」

DTMでは「オーディオエンジン」と「プロジェクト設定」で異なる値の「ビット深度」を持つことがあります。

事例をピックアップしますと、オーディオエンジン(DAW内部ミキサー)は32ビットで音声を処理し、最終的にはプロジェクト設定の16bitで変換して出力する事があります。この結果、高い音声データの精度を保持しながら外部のデバイスやフォーマットに合わせたビット深度で出力が可能になります。

長くなりましたがそれぞれの特徴を見ていきましょう。

LogicProにおける「64bitの集約エンジン」

主な特徴

  • 「64bitの集約エンジン」はAppleが掲げる独自のオーディオエンジン。プロジェクトのビット深度の設定に関係無く、Logicのミキサー内では64bit処理されている
  • 各トラックでレベルオーバーしていても、ステレオアウトトラックでクリップしてなければ音割れの心配が無い

①「64bitの集約エンジン」はAppleが掲げる独自のオーディオエンジン

私は作曲やアレンジの際にLogicProをメインDAWとして使用しています。

その上で他のDAWと比べて「64bit集約エンジン」というネーミングが機能をハッキリさせていないように感じます。オーディオエンジンは各DAWの音のキャラクターに関わるので、Appleのマーケティングの一貫として「64bitの集約エンジン」と名付けられた印象があります。

プロジェクトの設定に関わらず、ミキサー内では常に64bit floatで処理されていると考えられます。

②各トラックでレベルオーバーしていても、ステレオアウトトラックでクリップしてなければ音割れの心配が無い

各トラックでクリップ(音割れ/メーターが赤くなる)していても、ステレオアウトトラックがクリップしていなければ基本的に音割れの心配がありません。

注意点としては、オーディオインターフェースを使用してギターや歌を録音した際に、オーディオインターフェース内部でクリップしていた場合は救済の余地が無いので注意しましょう。

他社のDAWにおけるオーディオエンジン

主な特徴

  • 単純に音が良い(ような気がする)
  • 臨機応変にオーディオエンジンのビット深度を変更できるが、プラグインの使用に制限がかかる可能性がある
  • 各トラックでレベルオーバーしていても、マスタートラック(ステレオアウト)でクリップしてなければ音割れの心配が無い

①単純に音が良い(ような気がする)

好みが分かれますが、CUBASEやStudioOneの音は良いと感じます。StudioOneは少し軽い感じがしますが、マスタリングとして使用されるだけあってセカンドDAWとしてもオススメです。

②臨機応変にオーディオエンジンのビット深度を変更できるが、プラグインの使用に制限がかかる可能性がある

CUBASEの話題の1つとしてピックアップされる事が多いですが、ビット深度を上げた場合にハードウェアやプラグインが対応出来ないケースがあります。

③各トラックでレベルオーバーしていても、マスタートラック(ステレオアウト)でクリップしてなければ音割れの心配が無い

先述の内容と被りますが、近年発売されているDAWのオーディオエンジン自体は32bit以上で稼働してるケースが多いです。結論としては各トラックでクリップしていても、マスタートラックがクリップしていなければ問題ありません。こちらも同じくオーディオインターフェース内部でのクリップには注意しましょう。

LogicProにおける「プロジェクト設定」のビット解像度

主な特徴

  • 現段階では32bit floatでレコーディングが出来ないが、32bit floatのファイルをインポートしても32bit floatが保たれる
  • 各トラックのチャンネルフェーダーを調整しても理論上は音質の劣化が少ない(が、実際には解像度が落ちている気がする)

①現段階では32bitでレコーディングが出来ないが、32bit floatのファイルをインポートしても32bit floatが保たれる

今後のアップデートに期待ですが、LogicProでは32bit floatのレコーディングが行えません。ですが、昨年のアップデートから32bit floatのファイルを24bitに変換される事無く扱えるようになりました。

②各トラックのチャンネルフェーダーを調整しても理論上は音質の劣化が少ない(が、実際には解像度が落ちている気がする)

32bit floatが話題になった際にもピックアップされてましたが、各トラックのチャンネルフェーダーを下げても音像が保たれるのが最大のメリットです。私感ですが、LogicProの場合は音像が少しぼんやりする印象があります。

他社のDAWにおける、「プロジェクト設定」のビット解像度の注意点

主な特徴

  • 各トラックのチャンネルフェーダーを調整しても音質の劣化が少ない
  • 必要容量が大きくなる可能性がある

①各トラックのチャンネルフェーダーを調整しても音質の劣化が少ない

32bit floatまたはそれ以上のプロジェクトの場合、各トラックのチェンネルフェーダーを下げても音像が保たれるのが最大のメリットです。解像度を保ったまま音が小さくなります。

②必要容量が大きくなる可能性がある

24bitに比べて32bit floatの場合は保存容量を多く要します。予め注意しておきましょう。

作曲家やアレンジャーは24bitでも良い?

LogicProで楽曲制作をされている方は、32bit floatのデータを扱う機会が、他のDAWユーザーより少なく感じます。理由としては32bit floatのデータを取り込む事は出来ても、現時点では32bit floatでレコーディング作業が出来ない点が考えられます。

その為、LogicProでは「24bit」で楽曲制作を進める事が多くなりがちです。

結論として作曲家やアレンジャーの場合は、24bitで作業していても問題ないと感じます。ただし各チャンネルフェーダーに触れずにソフトウェア音源やプラグイン側で調整する事が必要です。これはLogicPro以外のDAWユーザーに関しても同様です。

ポジティブな見方「個性」

CUBASEやStudioOneのサウンドの評判が良い背景としては、「オーディオエンジン」の違いがあります。LogicProは「64bitの集約エンジン」という曖昧な表現をしており、これが独特のサウンドを産んでいるように私は考えています。

サミングのようにも感じる「64bitの集約エンジン」によって、チェンネルフェーダーを調整した際には解像度が落ちているように感じますし、そもそも出音が好みじゃという方も一定数いらっしゃる印象です。

個人的にはAppleのDAWという事もあり、アップデートや未来の追加機能に期待したいと思います。自身の楽曲制作の参考にして頂けると嬉しいです。

参考記事

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